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田村駒 衣料、生活関連資材で海外販売拡大目指す

 田村駒は、衣料品や生活関連資材事業で海外市場の開拓に力を入れる。「新成人の数が減り、ファッション感度の高い人もかなり減っていく。国内はもちろん、海外にも販売するルートを作っていく」と植木博行社長。

 衣料品では、豪州産ウールなど海外で調達した原料を、東南アジアなどで製品化し米国や欧州向けに販売する事業が増えてきた。ベトナムやバングラデシュなどの生産背景を活用し、「追加オーダーにも対応」し第3国向けを増やす。現地法人や事務所の駐在員に加え長期出張者で営業を強める。人材育成では、コロナ下で休止していた若手の海外研修を昨年10月から再開、タイやベトナム、独・ミュンヘンなどに派遣している。

 成長分野と位置付ける生活関連資材では、家電関連で動きが激しい。中国でのロックダウン(都市封鎖)などを受け、タイやベトナムなど東南アジアへの生産シフトや日本回帰のニーズが増加している。そのため静岡事務所に組み立て・加工機能を加えた。

 東南アジアでは「タイの増強か、必要ならベトナムで工場系の現地法人を作ることも検討する」と生産体制を強化する。「中国では白物家電はほぼ行き渡ったが東南アジアではこれから」と市場の成長を取り込む狙いだ。

 今期は、第3四半期(10~12月)までは増収・増益。通期では上方修正した売上高950億円、経常利益25億円が「実現可能」なところまできている。主力のアパレルOEM(相手先ブランドによる生産)は、「初回発注量はさらに少なくなっている。ただ売れ筋になればすぐに追加発注がくる」状況に中国やベトナム、大ロットはバングラデシュと使い分け、20年度並みの水準まで戻している。「色リスクする素材が武器になっている」と定番の裏地やニット生地などで即納体制を整え、伸びている。

 来期(24年3月期)が中期経営計画の最終年度。「本体と事業会社の連携を加速しグループ全体で増やす」と連結売上高1300億円、経常利益35億円を目標とする。単体は増収増益を見込む。特に生活関連資材の第3事業部は、マレーシア子会社のワイヤハーネス事業や家電関連の山城工業など事業会社との連携で伸ばす。衛生分野では、20年に買収した田倉繃帯工業が北陸第二工場を設立。3月から本格納入が始まり、成長につなげる。

2023年2月10日 繊研新聞