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田村駒、豊島、スタイレム 関東で共同配送本格化 ドライバー不足解消や環境配慮

 繊維専門商社3社が共同配送の取り組みを始めた。田村駒、豊島、スタイレム瀧定大阪は物流改革の一環として港湾(東京港)から関東エリアに配送する一部の商品で「共同配送」の試みを今年に入り開始、4月から本格運用を始めた。

 従来は港湾で商品を通関した後、各社独自のルートで配送していた。しかし港湾からの配送はアパレル企業の物流倉庫など共通する配送先が数多くある。3社が協働し千葉県・南船橋にある物流拠点を活用、共同配送に取り組むことにした。それにより、①トラックの車両台数の削減による交通渋滞の緩和やドライバー不足の解消②配達回数の削減による受け取り倉庫への負荷減少③二酸化炭素の排出削減効果――といった物流面の課題の解決や地球環境に配慮した取り組みにつなげる。共同配送率はピークで約3割という。

 今回の取り組みについて、田村駒は「ドライバー不足が深刻化するなか、1社では解決できないため、数年前から共同配送できないか様々な企業と話し込んでいた。繊維専門商社は各社ライバルではあるが配送先が同じだったり、近くだったりするので、協働して混載し運ぶ量を増やせばロスが減り、メリットが大きい。3社で始めたが関心を持ってくれている企業は他にもあり、取り組みを広げていきたい」とコメントした。

 豊島は「『豊島SDGs宣言』の一環。今後はドライバーの時間外労働時間の上限が規制される「2024年問題」もある。個別配送よりも共同配送した方がトラック台数が削減され安定配送の一助になる。まずは関東地区から共同配送を始め、別のエリアでも同じように物流拠点を構えれば、同様の取り組みが出来る可能性がある」とした。

 スタイレム瀧定大阪は「物流コストの上昇やドライバー不足といった課題は業界に共通したもの。1社でやるより一緒に取り組む方が効果がより出る。こうした動きはDX(デジタルトランスフォーメーション)などの取り組みにも共通しており、今後も様々な分野でこうした協働を進めていく」と話した。

2022年5月10日 繊研新聞