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田村駒ベトナム 資材関連が前年並み 生地内販を柱に育成

田村駒のベトナム法人、田村駒ベトナムは繊維事業が苦戦するも資材関連は前年並みで推移する。上期は増収増益で、コロナ禍前に納品した現地での生地販売や資材が貢献した。

7~9月は衣料製品や裏地など主軸の繊維事業が苦戦した。衣料関連の回復は鈍いが、「10、11月ごろから受注が少し戻ってきた。ベトナムでの生地開発や素材の要望など新しい話がでている」と尾崎正浩社長。ただ21年の春夏、秋冬は「日本の状況が読めず、見通せない」と慎重にみる。マスクや防護服関連の納品は一段落した。

今後柱に育てるのがベトナム国内でのアパレル生地の販売。上期に納品したもののコロナの影響で商談がストップ。11月に入り、新規案件含めニーズが高まってきた。特に田村駒独自のニットシャツ地やユニフォーム向けの機能素材などが人気だ。裏地販売も引き続き強める。

欧米向けも視野に入れる。ベトナムは8月にEU(欧州連合)とのFTA(自由貿易協定)が発効し、今後RCEP(地域的な包括的経済連携)の活用も期待できる。「欧米からのニーズもでてきた」と日本本社や独ミュンヘン事務所と連携して、スポーツやユニフォームの製品事業を進める構え。枕カバーといったリビング関連やエコバッグなどニーズは多彩だ。

衣料品の落ち込みが予想されるため繊維以外の育成を急ぐ。資材では貨物用途の日本向けポリエチレンシートが堅調。コロナ前から手掛けていたニトリルゴム手袋は需要は旺盛だが原料の不足や高騰で供給が追い付いていない。エコバッグも伸ばす。

「一つのことに凝り固まっていてはだめ。柔軟に構えて様々なニーズを拾う」と領域を広げている田村駒グループ内の連携も武器になる。衛生材料を製造・販売する田倉繃帯工業や家電関連部材、建築関連など様々な可能性を探る。

2020年12月10日 繊研新聞