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田村駒 資材関連事業を拡大 中軸に物作り

田村駒は、堅調な資材関連事業をさらに伸ばす。「事業には波がある。世の中の動きに合わせて注力する分野、ポートフォリオは変わる。持続できる事業かを経営判断の一つとし、コロナ禍後すぐにトップスピードに乗れるよう準備している」と植木博行社長。資材で成長に向けた投資を加速し、グループ会社との連携を強め人員も増やす。(高木淳史)

柱のアパレル製品事業は、「もちろん重要。薄利多売は続かないので付加価値化を進める。ただ日本では少子高齢化が進み若い層が確実に減る。商社マンは“売れる”ことが一番の薬。公募制などで若手社員を中心に伸ばす事業に配置する」と海外グループ会社含め人材活用を進めている。

成長分野と位置付ける生活関連資材をさらに伸ばすため、今期から担当営業部を事業部に格上げし、第3事業部とした。現在1部体制だが、「早く2部体制にしたい」と期待する。プラスチック成型の山城工業は部材、半製品供給で有力家電メーカーとの取引を強めている。中国生産に加え、タムラコマ・タイランドと連携し、家電メーカーの東南アジア生産ニーズを取り込む準備を進める。ワイヤーハーネスのセイコーデンキマレーシアはコロナ禍で稼働が落ちてはいるが受注は順調。家電のグローバル企業からの受注が伸びており、今後は取引のある欧州大手自動車メーカー中心に電気自動車向け部材の拡大を狙う。
住宅関連では、住宅資材などを手掛ける田村駒エンジニアリングが昨年9月、鉄骨加工の黒田工業を買収した。オフィスビル向けなど非住宅分野を強めて間口を広げ、深く取り組む。

「広く浅くではなく付加価値を付けないと生き残れない。関係会社と連携し、物作りをど真ん中に据えて深く取り組む。物作り、組み立て、物流までを一貫で手掛けるなどで収益構造が変わってくる」と繊維含めて付加価値型ビジネスを強化する。

繊維関連では、20年に買収した田倉繃帯工業が北陸第二工場を新設し四月稼働を予定する。コロナ禍後拡大が見込める病院やクリニック向けの国産医療用弾力包帯を増産するためだ。昨年11月にはケア介護用品を企画、販売するトキメクジャパンに出資。介護、高齢者向け市場に参入した。アウトドア分野の強化では、米カヤックブランド「フォルボット」の日本での商標登録を取得。オリジナルブランドとしてじっくり育てる。

今期(22年3月期)は減収減益予想。生活関連資材や住宅関連資材は堅調で増収増益を見込む。衣料部門は素材は健闘するが、製品事業がサプライチェーンの乱れやコスト高などが響き、厳しい。販売を休止した漁網リサイクル生地「GNB」に関しては第三者委員会を設置し、近々再発防止策などを発表する予定。

2022年2月25日 繊研新聞