田村駒 陶器で雑貨店や通販を開拓

繊維専門商社の田村駒が新規事業として陶器の販売を始めた。土鍋や急須で有名な三重県四日市市の四日市萬古焼が中心。耐熱性に優れ、急須などは「使い込むほどに味わいや光沢が増す」と人気がある。

有力窯元の藤総製陶所と代理店契約を結び、全国の雑貨店やお茶専門店、通販などに販路を広げる。「藤総の急須にはお茶をおいしく飲むための職人の技と工夫がつまっている」と担当者。急須本体と茶こしが一体の「至高急須」は、茶こし穴を手作業で開ける。茶こしが注ぎ口にあるため茶葉が対流し、うまみを十分に引き出す。ティーポットタイプもある。中心価格は4500~5500円ほど。

画期的なのは直火、電子レンジ、IHに対応する「バン・プロ」シリーズ。IHにも対応できるよう、数年がかりで銀と特殊な釉薬を用いた加工を開発。陶磁器の底面に特殊釉薬を手施業で塗る。底に金属を貼り付けず、手で塗るため、様々な形状や大きさの土鍋や土瓶などに対応できる。

「服以外を充実する小売店が増えており、田村駒の総合展示会での反応も良かった。窯元が優れた商品を作っても産元商社が減り、なかなか消費者の手に届かない。繊維と同じ構造、課題で力になれる」と一緒に組むことにした。今後海外でのアピール、販売も検討する。

2020年7月27日 繊研新聞